2021/10/17

近畿麻薬取締官事務所 chapter②

DATE: 07/11/2015 20:04:11



chapter ②

キャリーから買うヘロイン0.5gは、3日と持たない
引いてから3日目にはまた、点滴をぶら下げバスに乗りと言う
常道行動が始まった

生命保険に、社会保険の疾病手当
プッシャーの商売は開店休業
ただ、ヘロインだけは
0.1gパケを
10000円で捌いていた

それと、TNちゃんがインドから戻りケララの
チャラス
たんまり持って帰ってたんで、FがTNちゃんから
200g
タダで頂いていた

チャラスは
1G
5000円
である、神戸の連中が生き残っていたんで
キャリーの高いヘロインを買っても
何とかなった、当時マイパートナーのQはヘロインは完全に抜け
アルコホールに溺れてたんで
俺が何をしているかは一向に気にも止めなかった


入院して早くも10日が過ぎる。
5歳年下の彼女が、嫁はんの代わりに俺の面倒を見ていたのは皮肉な事である
この女、只者ではなく
嫁とはかなりのバトルを展開する
ポン中女やけど、自分でセーブ出来るので安心なのだが
嫁はんの方が、セーブの効かないイケイケ女なんで
その、バトルは壮絶なモノがあった、懐かしい思い出である


やがて、入院生活も終盤に突入
何も食わへんのに体重が増えていた
人間、点滴だけで生きていけるもんやとこの時思った
食う必要がない、ほとんどウンコが出ない
小便ばかり出る


2週間の絶食も終わり、少しずつ・・まず粥の汁から始め
8部粥、5部粥とランクを上げていくのだ


当時、俺は病院の風呂が嫌で歩いて3分程の自分の家のシャワーを浴びに帰っていた
その日も、シャワーを浴び
チャラスを燻らしていると、玄関がえらく騒がしかったが
別に、気にも止めなかった、
また、嫁はんが酔っ払いクダを巻いているのだと
チャラスの心地の良い世界に身をゆだねてた所


┌(┌ ・ω・)┐ダンッ┌(┌ ・ω・)┐ダンッ┌(┌ ・ω・)┐ダンッ
・゜゜・*:.。. .。.:*。.:.+*:゚+。.☆゚・*:.。. .。.:*・゜・゜゜・*:.。. .。.:*。.:
「キャァ~ーーーーー」
嫁の叫ぶ声

ようやくただ事では無い事に気がついた
ヤクザ風情のオッサン共が10人以上流れ込んで来た


俺は、チャラスの飛びもあり
全く理解できなく、そのまま固まってしまい動けなかったんや
てっきり、カチ込と思い
武器を頭がよぎると同時に

「動くなぁ~、近畿麻薬や!」


確かに、そう聞こえた

足元を見ると、10人も狭い部屋に入って来たんで
なんか、メチャ圧迫感があったが
土足は無いやろ!
思い
「靴脱がんかいな」

言っていた
それは
まるで俺以外の誰かが言ってる様な感じがした

冷静であった
何故か、カチ込と違うかった安心感からやと思う

「ガサ状見せてんか?」
怖いくらい、冷静になっていたのには自分でも驚かされた
令状を手に取り
初めから終わりまで読んだが、全く頭に入って来なかったのを覚えている

記憶に残ってるフレーズは
ヘロイン・LSD・覚せい剤・密売
麻薬及び向精神薬取締法違反・営利目的
覚せい剤取締法違反・営利目的


こんな、とこやな。

「ケイジ」
「女」

の供述と自分の部屋の間取り図を見せられた
よくよく話を聞くと
薬ならなんでも揃う、北大阪薬局と言う通名が付いていた
のには
俺自身、誇りに思う以上にビックリしていた

近麻は、嫁はんが部屋に帰って来るのを待ち伏せして、マンションの1階で捕まえ
一緒になだれ込んで来たんであった

俺の状態は、チャラスを新聞紙の上に広げ
タバコと混ぜてジョイントを作っていたのがそのままあったんで
言い訳もせず
チャラスの存在を認めた

チャラスの件は、嫁は知らんので
俺のモノやと言い通したが、ガザかけても目的のモノが出てこん
ガサ隊はかなり焦っていたはずや、


出てくる訳がない、ヘロインはマンよくこの後に買いに行く予定やったんで
部屋には無かったんやな

近麻は、部屋をメチャメチャに荒らし、クッションやソファーを破ってえええか
言うんで
「あかん」
一言


出たのは、チャラス
2..8g
だけ、近麻にしたら大失態であるのは間違いない

やり方が汚いのは、嫁は全く関係ないが
夫婦で手広くなる情報が元なんでどうしても近麻は嫁を引っ張りたかった


そこで、たった
2.8g
チャラスを共同所持と言う名目で
2人とも逮捕されてしもたんや

それでや、その時同時に俺の彼女の家にもガサが入ってたらしい
彼女は、全くのポン中やけど
この時は、尿検でも出ずに捕まることなくやり過ごしていた
さすが、オレの女!!

やりよるわい

俺ら、夫婦はそのまま現逮で手錠を掛けられ、
御用と相成りまして、
1度近麻の事務所に連れて行かれたものの、近麻は留置書がない
そこで、府警本部の留置に預けとなり
当時の本部は
ドイツ官房と言って
扇形に部屋が配置してありその真ん中に橋の様な物が出ており
そこに、看守が座る机がある。

地下2階、地上3階建てで
映画のセットの様に感じた

そこに居たのは、2日だけで
即、大拘に送られた

48
検事調べでは、丁度ヘロインの「シック」
真っ盛りで、吐瀉物を吐くのでビニール袋を持たされ
かなり、ヤバイ状態で行った事を
思い出した。

検事調べでは知った顔を何人か見たが皆、気分は良くなさそうやったな
調べが拘置所で始まった
検事調べのあくる日調べに来たが、「シック」を理由に
部屋から出ることはなかった、

結局部屋から出たのは、
収容されてから1週間が経つ頃から調べが始まった


逮捕事件は大麻取締法違反である
通り一遍の調べ、チャラスは
「ケイジ」
から貰ったモノやと言い通し
ケイジに擦り付けてやった

後は、密売とヘロインの事ばかりである
尿検ではヘロインは検出されず、既に代謝されていた
今の、ガスクロと違い当時の機械の精度は悪かった

近麻は、ウチのゴミ箱から集めたアルミホイルのヘロインを吸った後のカスや
ビニールのパケを出してきたが、
それがホンマに俺とこのゴミかどうかわからないので
何の、証拠能力もなかった

事件は早々に幕を引き、俺と嫁はんは
当時の価格で
保釈金1人につき
100万円
2人で
200万円


嫁はんの親が出してくれ、何とか無事に
逮捕後16日目にして、シャバに出た。

そして、2人で神戸のAさん宅へと向かったのは言うまでもない
放免祝いの、いっぷくの
ヘロインを
吸うために

・・・・・・・・・・

その日から、3日間は
主の思いを他所に
居座り続けたのだった。

近麻で思った事は、全く内定に気が付かなかった事、
見た目が、刑事とは大きく違い
俺らに近い風体をしているという事、
人数が少ないので機動力に欠ける事
犬が多い事

が挙げられる

後に俺が経験する身の毛もよだつような
裏取引が存在する事はこの時には分からなかった。

おわり