かちわり! ①/③【Game Over】(BU10/17/2014)
そう、あれは確かに西暦2000年の夏だった。
早朝、悪友のY,とAがレンタカーに乗ってやってきた。
「Dちゃん、何やってんのん、暇やろ、かちわり行こうや。」
Yが、元気よくそう言った。
元気よくだ。
かちわりとは、何ぞや?
かちわりとは、仲間内の隠語で、車上荒らしのことで、
窓を叩き割って仕事をするから、かちわり、と
言うようになってしまった。
この頃の俺は、プッシャーもやっていたので、
金に困ってはいなかったが、かちわりが生み出す
大当たりの快感が忘れられなくなって、
半ば、ゲーム感覚でスリルを楽しんでいた。
かちわりに、ルールはない、
ただ、窓を叩き割って、車内のものを盗むだけの単純な窃盗である。
が、
これがバカにできないのだ!
我々の、かちわりのパターンを紹介しよう。
一般人の奴は、車上荒らしと言うと夜のもだと思いがちだが、
俺たちの仕事時間は、朝、
9時~
サラリーマンや、幼稚園に送りに来た車を狙う。
朝に、こそこそせず、堂々と窓を叩き割るのである。
街の騒音にかき消され、窓の割れる音はさほど気にならない。
ただ、
窓を悪時は、できるだけスミの方を叩くと、
ガシャンー、ではなく、ボッ、と言う低い音で窓が割れるのだ、
知らなっかでしょうー
何回もスクラップ屋に足を運び、
窓を割る練習をした甲斐があるちゅーもんや。
狙う車は、バッグ、鞄、が積んである車。
必須
今はもう出来ないが、
現金ではなく、カード、と家の鍵、保険所、免許書
が
俺らの狙い。
1回のかち割りで今までの最高の大当たりは、
なんと、
1200万円
3人の仕事やから、1人頭、
400万円
これが、過去最高の大当たり
で、
その快感が忘れられなく、ズルズルとかち割り人生を送っていた。
プッシャーの稼ぎより遥かに利回りがええんである。
そら、やめられまへんわ。
かちわり行く前は、ヘロイン禁止(仕事にならないから)
S、と、ロヒプノールの
組み合わせで、イケイケですわ。
で、
話わ戻り、
YとAが、今日は奈良に行くからと言う
市内で手当たり次第にやってたんで、ほとぼりが冷めるまで
出張することにしたと
・・・
3人の中で運転できるのは、俺だけ、
Aも出来るのだが、
シャブボケで、こうつ事故に遭い足を骨折していて運転ができな、
なんで、そんなやつを連れて行くかというと、
Aは奈良の地理の詳しいし、3人はトリオだったと言う理由もある。
まだ、2000年頃はレンタカーには、ナビなど付いていなく、
地図が頼りだ、
俺たち3人は阪神高速を突っ走り、奈良へと向かった。
途中、オートバックスで、かちわり用の、
脱出ハンマーや、ゴム手、テープ
など、必要品を盗み、
ローソンの駐車場で1発キメて、
2人には内緒でが、俺はヘロインも混ぜて
スピードボール
を
キメていた。
最初の仕事は、1発キメた、ローソンの駐車場だった。
確か、大したことはなかったと思う、
それからは、スーパーや、ゴルフ場、ファミレスなど
6件ほど回って、上がりが、1人あたり、
16000円
今日は不発やなと
またまた、コンビニの駐車場で
1発、キメル!
今日はこれぐらいにしとこか、とYが言う。
せやな、と俺、
「丹波屋のきんつば、食いたないか?」
皆の意見が一致し、丹波屋でおはぎや、きんつばを
買って、帰りの道中ほうばっていた。
Aが、突然、お婆ちゃんとこに寄ると、言い出し、
3人で、Aのお婆ちゃんの家に行くことになった。
お婆ちゃんとこで、また、1発キメて、
なんか、グワングワンになってきて、3人とも、ポンボケしてもて、
話が通じない、
とりあえず、帰る事になって、お婆ちゃんの家を出てすぐ、
Yが、あの車、行くわ、言うて
ハンマー持って、俺の静止を振り切り、車外へと出て行ってしまった。
俺が止めたのは、家の駐車場の車で、車の持ち主が、
車の横に2人居たからだった。
Yには、ポンボケでそんな事目に入らず、
チラッと見えたカバンがヴィトンだったので、
後先考えず行動に移してしまった最枠な奴だ。
案の定、家の人に見つかり
「ドロボーっーーーーーーーー」
と
叫ばれ、追いかけられ、
車へ、飛び乗ってきた。
俺は、急発進したが、マニュアル車だったため、
エンストを起こし
車は止まった。
慌ててエンジンをかけ直しリスタート、
お陰で、ナンバーをキッチリ見られてしまった。
ポンボケは、ろくなことない、
ホンマやで、
とにかく早く大阪に帰りたいのだが、
国道何号線か忘れたが、
夕方のラッシュで車は動きもしなかった。
渋滞の中、残った丹波屋のおはぎを食いながら
ポケーっと運転していると、
車が、渋滞で止まったと、思った瞬間、
開けあった窓から、誰かが車のキーを回し、抜いてしまった。
とたんに、ドアを開けられ、外へ引きずり出された。
助手席に乗っていたYは、すでに、逃亡をはかっていた。
さすが、ボケてても
一味違う、Y君、
俺も、手を振り払い、全速力で
あさっての方向に走り出したが、しがない、
ヤク中の身、
体力などあるわけがなく、
あっさりと捕まり、殴る蹴る、投げられるで、
その後の記憶がとんでしまい、
気が付いた時には警察署に居た。
やっぱり、持ち主から110番が入り、緊急配備していたと言う。
後から聞いた話、覆面3台に、パトカー2台に囲まれいたそうだ。
くわばら、くわばら。
そんな訳で、窃盗と、覚せい剤、所持・使用
で
パクられてしまいました。
万の悪いことに、2年半の弁当持っていて、
今回の判決が、2年半
合計
5年の懲役となりました。
運命は、ホンマ一瞬で変わってしまいうと言う事を
勉強させてもらいました。
何事も調子に乗ると痛い目にあう。
あの当時は、目の前真っ暗になりました。(泣)
②に続く
0 件のコメント:
コメントを投稿